GREETING あいさつ
JIA建築家大会2022沖縄に寄せて
今年は沖縄本土復帰50周年、JIA沖縄支部創立25周年という記念すべき年で、コロナ渦で開催が延期されてきた建築家大会が3年ぶりにここ沖縄の地で開催の運びとなりました。大変意義深く喜ばしいことでもあり、準備頂いた沖縄支部の皆さんに心より感謝いたします。
この3年間で社会情勢は大きく変化してきました。コロナによる生活環境と人間関係の変化とともに、SDGs-持続可能な開発目標が社会全体の共通のテーマとして我々に問われています。
今大会では「首里城の輪郭‐失われたことで見えてくるもの」というテーマを掲げ、多様性、持続可能な開発、保存再生について議論いたします。JIAではSDGsをきっかけに、建築と向き合う4つの心得を発表しました。「きちんとつくる、だいじにつかう、すてずにいかす、ちいきへつなぐ」これはSDGs達成のために社会全体で考えたい姿勢でもあります。「もったいない」の哲学にも通じる思想で、日本人が古来から自然と共生しながら生活してきた姿勢であるとも言えます。失われた、失われつつある建築や環境ばかりでなく、精神性も含めて「失われたことで見えてくるもの」を皆さんと議論し共有できれば幸いです。
2019年10月の火災により首里城が焼失し、沖縄県民は言葉を失い、魂が抜けていくなんとも言えない喪失感に襲われました。県内外の方々にも深い悲しみを与える出来事となり、建築の専門家としてできることはなにかを模索する中で昨年、コロナ感染拡大が収束しないまま沖縄大会が延期となりました。
コロナ禍という状況において、オンラインによる全国大会開催という声もありましたが、本土復帰50周年の節目であり、首里城再建に向けて着工する年でもあるので、全国より会員の皆様をお迎えして新しく生まれ変わる沖縄を共に感じて頂ければ幸いです。
日本建築家協会沖縄支部では、「若手建築家の育成」、「東南アジアとの国際交流」、「沖縄建築文化の向上」の活動方針のもと、2017年に支部創立20周年を迎え、今後新たな活動を模索するこの時期に20年ぶりに沖縄の地で建築家大会を開催する運びとなりました。
大会テーマは「首里城の輪郭~失われたことでみえてくるもの~」、首里城焼失と再建による新たな知見、自然保護と開発、基地と観光など沖縄が経験してきた様々な矛盾に目を向け、今後返還される基地跡地利用を共に語りながら、建築の保存再生、地方都市の再生、SDGsによるまちづくりなど、JIAの建築家が沖縄より全国へ、アジアへと発信する大会となることを期待しています。
最後になりますが、首里城復興に際し全国の会員の皆様から多くのご厚情を賜り改めて御礼を申し上げます。
県都那覇・古都首里へようこそ
那覇市は、人口32万人余を有する沖縄県の中心地であり、ウフマチ(大市場)を中心とする、日本有数の一大観光地です。また古都首里は、1429年から1879年までの450年間にわたり存在した、琉球王国の政治・外交・文化を中心として栄華を誇った、首里城を中心とする王都です。この地に皆さまをお迎えし、共に学び・考え・発信できることを大変嬉しく思います。
コロナ禍の状況下で安全・安心な大会とはどのようなものか、大会実行委員会を中心に模索しながらの準備となりました。大会主会場となる那覇文化芸術劇場なはーとは、那覇市の中心地にあり、バスやモノレール等の公共交通機関の便がよく、また周辺にはホテルや飲食店が多数あり、利便性の高い地域となっています。更に、会議の会場となる八汐荘やサンセットクルーズ船(ウェルカムパーティー)の港(那覇港)、レセプションパーティー会場のハーバービューホテル等が徒歩で移動できる、感染防止に配慮した、人や環境にやさしい大会となっています。
初日のシンポジウムを皮切りに、2日目は首里城再建現場を視察頂き、大会式典、メインシンポジウム、レセプションパーティー、最終日は沖縄ならではのエクスカーションを準備致しております。沖縄料理や泡盛、琉球舞踊や歌三線、空手、紅型や首里織等、沖縄独特の文化を体感頂ける3日間、会員一同心よりお待ち致しております。